武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)

【神話の中の武甕槌大神】

武甕槌大神は、日本神話で天神の意思を象徴する『正義の剣として重要な役割を果たす霊剣十柄剣(とつかのつるぎ~後に布都御魂剣と呼ばれ東征中の神武天皇に預けられる)の神格化である。鹿島神宮の宝物館には、全長271cmの国宝の剣(直刀)があるが、これを見れば、武甕槌大神が偉大な武人であることが納得できよう。

神話の中の武甕槌大神は、高天ヶ原の再興し霊神の命で、地上の国を平定する切り札として出雲国に派遣され、十柄剣を切っ先を上にして波を突き立て、その剣の先に胡坐をかいて威嚇し、地上の王である大國主神(出雲大社の御祭神)に国譲りを承諾させた。その際、大國主神の子建御見方神(諏訪大社の御祭神)と力比べをして勝ち、武神としての優れた力を示している。こうした武甕槌大神の姿は、地上の国を平定する武力と権威の象徴なのである。

また、武甕槌大神は、「建御雷」と「雷」の名の通り、落雷をイメージさせる話が登場する。古代人は天から降ってくる恐ろしい雷を剣になぞらえ、霊剣布都御霊の「ふつ」は剣が物を切り裂くいイメージから来ている。さらに、落雷は全てを焼き尽くす日の力も持っている。

古代の常陸國といえば、朝廷の人々の感覚から地の果ての辺境地であり、魑魅魍魎の住む暗黒の異界であった。しかも、鹿島灘は海と陸の境界にある。境界は天と地獄の境界でもあると考えられていたことから、そこに宿る神霊というのは、悪霊の出入りを防ぐ霊力を持つとされた。武甕槌大神もまた、邪気・悪霊を吹き飛ばす力を持つ神として、今なお、悪疫退散に霊験ありとされている。

 

【武甕槌大神を祀る神社】

鹿島神宮(茨城県鹿嶋市-全国918社の鹿島神社の総本社。「常陸國風土記」に大化5年(649)にこの地に「豊香島の社」が造られたとある。鹿島大明神は武神として大和朝廷の蝦夷平定を助けたとされ、以後、朝廷の崇敬を受ける。さらに鎌倉幕府以降は将軍や武士にも信仰され、東国鎮護、武運長久の神として崇敬され、広く庶民の信仰をも集めた。

◆春日大社(奈良県奈良市春日野町)―武甕槌大神は第一殿に祀られている。鎌倉時代初期の「古社記」には、神護景雲2年(768)、藤原北家の氏社として常陸國鹿島神宮から迎えられたとある。

◆石上神宮(奈良県天理市布留町布留山)-霊剣布都御魂神を御祭神とする。大和朝廷の武器庫の役割を果たしていたとも言われる。

◆真山神社(秋田県男鹿市)◆古四王神社(秋田市寺内字児桜)◆塩釜神社(宮城県塩釜市一森山)◆椋神社(埼玉県秩父市吉田町)

◆大原野神社(京都市西京区大原野)◆吉田神社(京都市左京区吉田)◆枚岡神社(大阪府東大阪市出雲井町)◆その他、全国の鹿島神社、春日神社


 




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